gd_c 1220's diary

飛ぶ鳥を落とす勢いで生きろ

パーマ

人生で初めてのパーマをかけた。

何事にも 誰にでも 初めてという機会は常について回るよ。初めてはいつだって不安でワクワクでそして少しだけ悲しくもある 少しだけな。

そんな訳で 右も左も勝手の分からない初パーマをどう乗り切るのか。これは舐められない為にも前もって準備が必要だろう!という事で色々調べた。が まったく分からない。何がどうなっててどれがどのくらいなのかどれが良くて何が駄目なのか 文字面だけではどうも伝わってこなくて 活字には自信があるはずだったんだけど ものの数分で並ぶパーマ文字に頭が痛くなった。寝た。

当日。いつも髪を切ってもらっている床屋さん もう14年間ぐらい通ってる(?) でかけてもらう事にして 川沿いをマウンテンバイクで突っ走った。春過ぎる風になってた。

いつものふかふかの椅子に座った。今日はどうするかと聞かれたから「パーマで!」とガキの勢いそのままに応えると あーはいはいみたいな感じで せっせと準備を始めた。「でどんなパーマがいいの」と急に聞くので (普通に考えてそれは聞くよね) 僕は自分の大脳辺縁系に昨日の予備知識を統括してあり得るべき答えを要求 できないので「寝癖みたいな なんか適当に」と馬鹿みたいな顔と声色で馬鹿みたいな事を言うと 少しだけ困ったようにしてから 僕の髪に霧吹きをかけ始めた。シュッ。ごめんなさい。

変色したマカロニみたいなやつで 僕の髪の毛をグルグルにしていく その間 店にあるラジオからは山下達郎の『サーカスタウン』と間宮貴子で『真夜中のジョーク』がかかって 三回のコマーシャルを挟んで ゲストとのトークが軽はずみにゴールデンウィークの半ばを駆け回ってた。ハッとすると 僕の髪の毛は全部が全部 変色したマカロニによって巻かれていた。身体のおおよそ半分を映すその鏡には おでこをまるっきり出した間抜けな自分が表象していて 泣きたい気持ちになる。

頭皮と肌の間に青いバンダナをされて 何やら得体の知れない液体をかけられた。これで髪の毛の結合を解いているんだと言われて はあ!そんなん禿げてしまうじゃん!って内心焦りながら へえそういうものなんだねえ ってスカしてた。それからよくある 情けないビニール袋みたいな包みを頭に被されて 大仰な電子レンジマシーンが登場する。ドラマでしか見た事のなかった電子レンジマシーンが自分の背後に忍び寄ると それとなく興奮した。暖かい7分間を坂口安吾の『堕落論』で溶かす。また得体の知れない液体をかけられて (これはもう一度髪の毛を結合させる為のものらしい そんな簡単に結合したり解散したりしてたまるかよと思うけどそういうものなのだろう) ワンモアセブンタイムは是非とも巷のダンスミュージックで縦ノリをキメたかったが あまり動いてはいけないらしく 堕落論に飽きた僕は居眠りした。

変色マカロニを全部外されて あられもない濡れた髪の毛が無造作にグルグル巻きになっている。前髪が無くなってしまっているし 所々頭皮丸見えだし めちゃくちゃチリチリだし もうすぐにでも亡くなりたくなった。それでも うんいい感じにかかったとかぬかすから コイツ逝ってるわ…って思いながら絶望を奥歯で噛み締めてた 悔しさをバネにとびっきりのボールペンを作ろうと決意してた。

でも 頭を洗って ドライヤーをかけると どんどん思い描いていた パーマのそのヘアになっていって 何だかめちゃくちゃ楽しかった。魔法ってのはこういうことだね。

 

大満足の初パーマを優しく撫でながら 帰りはマウンテンバイクを押して帰った。夕陽が妙に優しかった。新しい自分 みたいなよくある感覚が身体中に巡って 一人でふふふと笑った。弟に 田舎の父方のおばあちゃんみたいだと言われてうっかり殺したけど 全然満足なんでオールオッケーです。